著書

 Ⅰ.単著

2.    『ンクルマ-アフリカ統一の夢』2015年4月25日、山川出版社

《概要》「世界史リブレット人」シリーズの一冊。アフリカの他の植民地に先駆けてガーナを独立に導き、全アフリカ解放の戦いを率いようとしながらクーデタで失脚したクワメ・ンクルマの生涯と事跡を通して、アフリカの脱植民地化の時代を考察した。(A5版、全88頁)


1.    『ポストコロニアル国家と言語-フランス語公用語国セネガルの言語と

社会』2007年12月20日、三元社

《概要》フランス語を公用語とする西アフリカの国家セネガルにおける言語問題を、セネガルという国家の歴史的、政治的、経済的なコンテキストとの関わりで、総体的に記述し、それを通じて、アフリカのポストコロニアル国家における言語問題研究という、あらたな問題の場を提起した。(A5版、全412頁+資料、索引92頁)

 

Ⅱ.編著

2.    『多言語主義再考-多言語状況の比較研究』

2012年3月25日、三元社《概要》東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所共同研究プロジェクト「多言語状況の比較研究」(2008年度~2010年度)の研究成果報告書。

 近年ヨーロッパを中心にしきりに語られるようになっただけでなく、ユネスコ等の国際機関によって普遍的価値として標榜されるようになった「多言語主義」という理念をあらためて問い直すために、現代の世界において「言語」がどのような問題の場として表れているのか、世界各地の多言語状況を個々の具体的なコンテキストから論じた論文集(A5版、p.755)。

[共同執筆者]砂野幸稔、佐野直子、塚原信行、米田信子、原聖、渋谷謙次郎、渡邊日日、李守、フフバートル、藤井毅、名和克郎、森山幹弘、原真由子、内海敦子、大原始子、品川大輔、古閑恭子、梶茂樹、若狭基道、安田敏朗、木村護郎クリストフ、山下仁。

[担当部分]

◇「序論」(pp.11-48)

《概要》近年普遍的理念として語られるようになった「多言語主義」が、基本的にはヨーロッパとヨーロッパ人の入植者植民地の経験を出発点として構想されたものであること、そしてそこで語られている「人間/言語」という概念が、実は「国民/国語」というヨーロッパ近代が生み出したイデオロギーに基づくものであることを論じることによって、ヨーロッパの「国民」の外部におかれていたアジア・アフリカの脱植民地化後の国家の経験と現実とは大きな齟齬があることを指摘し、その上で、本書の各論文から浮かび上がる論点を整理し、全体の総括的紹介を試みた。


1.    『ウォロフ語読本および文法概説』  1994年7月、東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所

《概要》東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所言語研修テキスト。ウォロフ語のことわざ、民話、小説を講読テキストとして編集し、文法の概説をつけた。ジャン=レオポルド・ジュフ監修。(B5判、P.183)

 

Ⅲ.共編著

1.    『アフリカのことばと社会-多言語状況を生きるということ』2009年4月30日、三元社

《概要》公共性を担保する言語がすでに存在するなかで「多言語主義」が語られるヨーロッパ諸国等の状況と異なり、公共性を担保する言語が存在しないまま重層的な多言語状況を生きるサハラ以南アフリカ諸国の言語と社会の実態を概観し、フィールドワーカーの視点からことばと社会をめぐる問題を具体的に論じる論文集。梶茂樹と共編(A5版、p.557)。

[共同執筆者]砂野幸稔、梶茂樹、塩田勝彦、古閑恭子、鈴木裕之、市之瀬敦、若狭基通、品川大輔、宮崎久美子、小森淳子、竹村景子、柘植洋一、深澤秀夫、米田信子、神谷俊郎、亀井伸孝。

[担当部分]

◇「まえがき」(pp.1-7)

《概要》西欧国民国家をモデルとして認識される言語問題とは異質の問題の場が存在することを提示するために、アフリカにおけるさまざまな言語状況を具体的に提示するという編集意図を述べた。

◇  総論、第二章「アフリカの言語問題-植民地支配からひきついだもの」(pp.31-63)

《概要》サハラ以南のアフリカの言語状況が、植民地支配の負の遺産として形成されてきたことを概観したうえで、現在の状況を4つの類型にわけて整理し、支配言語として存続するヨーロッパ語と、ほとんどが不十分にしか書記化されていないアフリカ諸言語の関係が、独立以後のさまざまな取り組みが実を結ばないまま、「多言語主義」「母語主義」等の理想が近年持ち込まれたことでさらに複雑化していることを示した。

◇  第五章「拡大するウォロフ語と重層的多言語状況の海に浮かぶウォロフ語-セネガル」(pp.127-159)

《概要》もとフランスの植民地であり、独立後もフランス語を公用語とするセネガルの言語問題を、都市住民の言語使用の実態についての社会言語学的調査結果の分析と、言語と政治の関わりについての植民地期以来の歴史と現状に関する記述を通じて分析し、フランス語が都市エリート層の特権的言語にとどまる一方で、ウォロフ語などの主要言語の書記言語としての発展の展望が開けないなかで、識字キャンペーンなどを通じて持ち込まれた無際限な多言語主義が、多言語状況の管理をさらに困難にしていると論じた。

 

Ⅳ.共著

17.    『岩波講座 世界歴史 第22巻 冷戦と脱植民地化Ⅰ 20世紀後半』  2023年7月28日、岩波書店

《概要》冷戦期を中心に二〇世紀末までを扱い、社会、経済、文化のダイナミズムが、政治と絡み合いながら世界史の動因となった過程を概観する。荒川 正晴, 大黒 俊二他編(A5版、p.314)

[担当部分]「アフリカ諸国の「独立」とアフリカ人エリート」(pp.199-218)

《概要》20世紀後末に「絶望の大陸」とまで言われるようになった「独立」後のアフリカを、国境と国家主権は存在しても、統合された社会が存在しない植民地国家を引きついたアフリカ人エリートが、支配者の人種主義に対するナショナリズムを鼓吹する一方で、植民地体制下で分裂した社会を統合することも対外的従属構造を脱することもできないまま、欧米の開発主義と冷戦構造に翻弄された結果として概観した。


16.    『混沌の共和国-「文明化の使命」の時代における渡世のディスクール』

2019年2月28日、ナカニシヤ出版

《概要》2018年1月27日に東京大学本郷キャンパスで行われた、日仏シンポジウム「アフリカ・カトリシズム・文化相対主義-ライシテの時代におけるプレ・モダン的徴表のゆくえ」に基づく論文集。柳沢史明、吉澤英樹、江島恭子編。(A5版、p.283)

[共同執筆者]柳沢史明、吉澤英樹、江島恭子、鈴木重周、砂野幸稔、ロリック・ゼルビニ、長谷川一年、ラファエル・ランバル。

[担当論文]「宣教師と植民地化-モンゴ・ベティの二つの小説から」(pp.233-253)

《概要》1950年代、脱植民地化の時代に、若いカメルーン人作家モンゴ・ベティがどのようにキリスト教宣教師を表象していたか、そしてどのように自らの時代を認識していたかを二つの小説『ボンバの哀れなキリスト』『奇跡の王』の分析を通じて提示し、ベティがキリスト教宣教師を植民地支配者の共犯者として描くだけでなく、変化しつつある時代の中の存在として彼らを表象していたことを示した。


15.    『新書アフリカ史 改訂新版』 2018年11月20日、講談社現代新書

《概要》アフリカ通史。1997年版を大幅に増補改訂したもの。宮本正興、松田素二編。(新書版、p.776)

[共同執筆者]宮本正興、松田素二、諏訪元、市川光雄、杉村和彦、吉國恒雄、赤坂賢、出口顕、嶋田義仁、福田安志、戸田真紀子、砂野幸稔、武内進一、峯陽一、楠瀬佳子、池野旬、佐藤章、栗本英世、高橋基樹、富永智津子、伊谷樹一。

[担当部分]

◇第11章第3節「同化と直接統治(フランス領西アフリカ)(pp.353-362)

<概要>フランスのアフリカにおける植民地政策の特徴として同化思想と直接統治の制度をとりあげ、その背景と現実の植民地政策のなかでの矛盾を論じた(1997年版に加筆)。

◇第14章「パン・アフリカニズムとナショナリズム」(pp.493-519)

<概要>アメリカ大陸のアフリカ系人から生まれた黒人意識が、パンアフリカニズムとしてアフリカ大陸の近代型ナショナリズムと結びつき、植民地独立からアフリカ統一機構の結成にまで至る過程を、第一次世界大戦から第二次世界大戦後の冷戦期にいたる世界の歴史の動きとの相互的な影響関係に注目しながら論じた。(1997年版に加筆)


14.    『世界の名前』2016年3月、岩波新書

《概要》世界の名前をめぐる100のエッセイ。岩波書店辞典編集部編。共同執筆者多数。(新書版、p.243)

[担当部分]「姓はどこにも住まない:セネガル、ウォロフ語」(pp.84-86)

<概要>セネガルの姓のあり方が植民地支配による社会体制の変容によって大きく変わったことを実例を示しながら紹介した。


13.    『アフリカ学事典』2014年6月、昭和堂

《概要》1964年のアフリカ学会設立以来の研究成果を、人文、社会、自然科学、および文理融合の複合領域まで、アフリカに関わる全領域に渡って俯瞰するとともに、最新の研究成果を紹介する、アフリカ研究の総合的事典。アフリカ学会編。共同執筆者多数。(A5版、p.682)

[担当論文]「アフリカ文学」総論(pp.60-71)

<概要>1960年代、アメリカにおける黒人意識の高揚とアフリカにおける脱植民地化の動きに呼応して始まり、1980年代に一つの研究領域として確立された日本におけるアフリカ文学研究の歴史を概観し、ナショナルな枠組みを自明視する国別文学研究が衰退していく中で「アフリカ」という枠組みで行われる文学研究の抱える問題を指摘した。


12.    『言語と貧困-負の連鎖の中で生きる世界の言語的マイノリティ』2012年8月,明石書店

《概要》移民や少数言語話者など、その土地で優勢な言語を満足に使うことができないために教育や就業の機会を奪われ、結果として貧困に陥ってしまう人びとの問題を、世界各地の例から検討する論文集。松原好次、山本忠行編(A5版、p.266)。

[共同執筆者]石原忠佳、井上恵子、岡戸浩子、柿原武史、松崎淳子、河原俊昭、江田優子、近藤功、砂野幸稔、八田洋子、原隆幸、古川敏明

[担当部分]

◇コラム4「セネガルにおける母語識字という虚構」 (pp.117-120)

《概要》数十の言語が存在するセネガルにおいて、早くから唱えられていた「母語識字」が、「すべての母語」というスローガンのもとで、事実上の共通語となっているウォロフ語など、主要な言語の書記言語としての発展が逆に妨げられ、実質的な袋小路に陥っている状況を紹介した。


11.    『セネガルとカーボベルデを知るための60章』2010年3月、明石書店

《概要》西アフリカのセネガルとカーボベルデの歴史と現在を紹介する。小川了編(B6版、p.307)

[共同執筆者]阿毛香絵、小川了、砂野幸稔、正木響、三島禎子、元木淳子

[担当部分]24章、25章、26章、27章、28章、29章、48章、49章、50章、51章、59章(pp.138-161,241-257,292-296)


10.    『媒介言語論を学ぶ人のために』2009年8月、世界思想社

《概要》新たな研究領域としての媒介言語論を確立する試み。異言語話者間の言語的な媒介に光をあて、世界各地のさまざまな形態を理論的・実証的に研究する。木村護郎クリストフ、渡辺克義編(四六版、p.356)。

[共同執筆者] 木村護郎クリストフ、三浦伸夫、泉邦寿、市之瀬敦、臼井裕之、斉藤くるみ、ジャン=クロード・オロリッシュ、吉武正樹、リサ・フェアブラザー、刘海涛、奥田敦、砂野幸稔、安田敏朗、後藤斉、タニヒロユキ、佐々木嗣也、渡辺克義。

[担当論文]第10章「『超民族語』ウォロフ語」(pp.212-231)

<概要>多言語社会であるセネガルにおいて、口頭言語としては公用語のフランス語を凌駕する媒介言語として拡大しつつあるウォロフ語について、「超民族語」としてのその使用の実態と拡大の歴史を示し、その一方で書記言語としての整備が遅れているため、将来、書記言語としての公的使用にいたる可能性は低いということを指摘した。


9.    『アフリカのいまを知ろう』2008年3月、岩波ジュニア新書

《概要》アフリカ研究者へのインタビューによる現代アフリカのさまざまな側面の紹介。山田肖子編。(新書版、p.245)

[共同執筆者]山田肖子、北川勝彦、武内進一、杉村和彦、高橋基樹、船田クラーセンさやか、亀井伸孝、若杉なおみ、鈴木裕之、佐々木重洋、砂野幸稔、池谷和信。

 [担当部分]「文学と社会」(pp.208-223)

<概要>現代アフリカの新しい文学の営みを通して、アフリカの言語と社会、教育の問題について概説した。


8.  『ハンドブック現代のアフリカ』 2002年12月、明石書店

 《概要》現代アフリカについての概説書。岡倉登志編(A5版、p.373)。

[共同執筆者]岡倉登志、赤坂賢、出水滋子、北川勝彦、楠瀬佳子、小林信次郎、嶋田義仁、砂野幸稔、高林敏之、田尻敦子、古川哲史、宮本正興、森川純。

 [担当部分]第1章「アフリカ文化のダイナミズム」(pp.37-71)

<概要>対外交渉と地域内交流を通じたアフリカ文化形成の歴史的ダイナミズムを概述した後、アフリカ文学やアフリカ映画などの言揚げされるアフリカ文化を、アフリカ人エリートが西欧に対して主張したアフリカナショナリズムのひとつの表れとして紹介し、最後に、ポピュラーミュージックやポッポアートなどのアフリカの都市社会から生まれた新しいアフリカ文化のダイナミックな生成を紹介した。


7.  『現代アフリカの社会変動-ことばと文化の動態観察』2002年4月、人文書院

《概要》現代アフリカ社会に刻まれた植民地の遺制を言語、文化、社会制度を通じて分析、記述する論文集。宮本正興、松田素二編(A5版、p.441)

[共同執筆者]宮本正興、松田素二、砂野幸稔、栗本英世、松田凡、戸田真紀子、梶茂樹、米田信子、小森淳子、竹村景子、稗田乃、赤坂賢、嘉田由紀子、中山節子、L・マレカノ、

三島禎子、末原達郎、澤田昌人、元木淳子、楠瀬佳子、木村大治。

[担当論文]「多言語都市ジガンショール-ウォロフ化とウォロフ化への抵抗」(pp.53-73)

<概要>1997年3月に行ったセネガル南部の都市ジガンショールにおける社会言語学調査の結果に基づいて、ジガンショールにおいてもウォロフ語がほぼ共通語の地位を確立する一方で、地元の地域共通語や多数派言語が衰退せずにその影響力を保持し、全国的なウォロフ化の波に完全に飲み込まれることなく、人々の驚くべき多言語使用が維持されていることを紹介し、その背景として、宗教、出身地、商業活動などのさまざまな社会的要因とともに、人々の「複数言語、文化への意志」とでも呼ぶべきものが、北部人支配とウォロフ語単一化の波への抵抗として存在していることを指摘した。


6.  『言語帝国主義とは何か』 2000年9月、藤原書店《概要》1999年10月にフランス国立東洋言語文明研究所と一橋大学の共催で行われた、日仏共同シンポジウム「言語帝国主義の過去と現在」に基づく論文集。三浦信孝、糟屋啓介編。(A5版、p.397)

 [共同執筆者] 三浦信孝、糟屋啓介、ルイ=ジャン・カルヴェ、田中克彦、小熊英二、安田敏朗、パスカル・グリオレ、ロバート・フィリプソン、西山教行、ジャン・ベルナベ、恒川邦夫、サレム・シャケール、マルセル・クルチアッド、アンドレ・ファーブル、砂野幸稔、原聖、トーヴェ・スクトナブ=カンガス、西垣通、イ・ヨンスク、キム・ハス、鵜飼哲。

 [担当論文]「旧仏領アフリカ諸国においてアフリカ諸言語はどのようにして『復権』され

        得るのか?」(pp.204-216)

《概要》セネガルのフランス語単一言語支配下の多言語状況とその中での言語ナショナリズムの動きを紹介し、圧倒的なフランス語支配のなかで、文字言語としての地位を獲得しようとするアフリカ諸言語の言語ナショナリズムは、フランス語支配に対する闘いだけでなく、少数の「共通語」を「標準語」として整備するために、重層的な多言語状況を統御し、諸言語の役割を差異化することも課題として背負っていることを指摘した。


6’ IMPÉRIALISME LINGUISTIQUE – HIERET AUJOURD’HUI   2005, INALCO / ÉDISUD, sous la direction de Luis-Jean Calvet et Pascal Griolet

  《概要》上記『言語帝国主義とは何か』の仏語版。

[担当論文] « COMMENT LES LANGUES AFRICAINES DES ANCIENNES COLONIES FRANÇAISES POURRONT-ELLES ÊTRE RÉHABILITÉES? – LE CAS DU SÉNÉGAL » (pp.223-232)

※ただし、筆者本人に知らされないまま、専門知識のない匿名の訳者によって翻訳されたため、誤訳が少なくない。


5.  『南から見た世界③アフリカ-国民国家の矛盾を超えて共生へ』 1999年3月、大月書店

《概要》シリーズ「南から見た世界」第3巻。独立から40年を経たアフリカが抱える経済、政治、文化の諸問題を歴史的背景を踏まえて論じる。北川勝彦編。(四六版、p.272)

[共同執筆者]北川勝彦、津山直子、木村映子、砂野幸稔、藤本義彦、望月克哉、戸田真紀子、荒木美奈子。

 [担当部分]

◇第5章「アフリカの文化と精神の非植民地化」(pp.201-231)

<概要>「西欧近代に出会うまでは、アフリカ人は没歴史的な『部族社会』のなかで数千年来変わらぬ生活を送ってきた」という、いまだに根強く残る『部族』的アフリカ観を批判し、アフリカが太古から現代に至るまで、外部世界との交渉と大陸内部の交渉を通じて、ダイナミックな文化形成を行ってきたことを、西欧との接触以前、奴隷貿易、植民地支配、そして現代について具体的な例を通じて示し、アフリカの重層的な民族と文化の構造が、むしろ多民族、多文化共生の世界にむけた豊かな示唆を含んでいることを指摘した。

◇コラム「マルチリンガルな人々」(pp.232-235)

<概要>アフリカの多言語、多文化、多宗教社会のなかで、人々の平和的共存が維持されている背景には、他者の言語や文化を尊重し、学ぼうとする、少なからぬ人々の努力があることを指摘した。


4.  『<複数文化>のために-ポストコロニアリズムとクレオール性の現在』

  1998年11月、人文書院

 《概要》ポストコロニアリズムとクレオール性の意義を問う論文集。複数文化研究会編。

(A5版、p.322)

[共同執筆者]網野善彦、海老坂武、鵜飼哲、木下誠、崎山政樹、北原恵、坂元ひろ子、

陳光興、富山一郎、ガブリエル・アンチオープ、ジャッキー・ダオメ、石塚道子、マリーズ・コンデ、砂野幸稔、

西成彦、鈴木慎一郎、ドミニク・オーレリア、浜邦彦、本橋哲也、細見和之、コリン・コバヤシ、杉村昌昭。

 [担当部分]「ネグリチュードとクレオール、そして複数性」(pp.205-222)

<概要>セゼールのネグリチュードが、『クレオール性礼賛』の著者たちの言うように「アフリカという外在性」に身をゆだねるものではなく、白い普遍を乗り越えたより高次の普遍を目指すものとして生まれたことを示し、ついで、クレオール性の主張がセゼールが直面したのと同じマニ教的二元論世界を引き受け、乗り越えようとする試みであることは認めつつも、一元的なフランス語世界の文化装置に乗って語られる彼らの「反普遍主義」「反単一言語主義」の主張の、思想としての強さに疑問を呈した。


3.  『新書アフリカ史』 1997年7月、講談社現代新書

 《概要》アフリカ通史。宮本正興、松田素二編。(新書版、p.596)

[共同執筆者]宮本正興、松田素二、諏訪元、市川光雄、杉村和彦、吉國恒雄、赤坂賢、

出口顕、嶋田義仁、福田安志、戸田真紀子、砂野幸稔、武内進一、峯陽一、楠瀬佳子、

池野旬。

 [担当部分]

◇第11章第3節「同化と直接統治(フランス領西アフリカ)(pp.323-330)

<概要>フランスのアフリカにおける植民地政策の特徴として同化思想と直接統治の制度をとりあげ、その背景と現実の植民地政策のなかでの矛盾を論じた。

◇第14章「パン・アフリカニズムとナショナリズム」(pp.445-470)

<概要>アメリカ大陸のアフリカ系人から生まれた黒人意識が、パンアフリカニズムとしてアフリカ大陸の近代型ナショナリズムと結びつき、植民地独立からアフリカ統一機構の結成にまで至る過程を、第一次世界大戦から第二次世界大戦後の冷戦期にいたる世界の歴史の動きとの相互的な影響関係に注目しながら論じた。

  [備考]第14回NIRA政策研究・東畑記念賞受賞(1998年10月:総合研究開発機構)


2.  『アフリカ史を学ぶ人のために』

  1996年9月、世界思想社

《概要》アフリカ史の入門書。岡倉登志編。(B6版、p.296)

[共同執筆者]岡倉登志、北川勝彦、服部伸六、宮本正興、栗田禎子、井上一明、菅野亮子、原口武彦、峯陽一、砂野幸稔。

 [担当部分]「大西洋の三角貿易-「新」大陸とアフリカ」(pp.87-103)

<概要>ヨーロッパの拡大運動の中で始まり、アフリカ社会に破壊的影響を与えた大西洋三角貿易の歴史を概観し、ついで新大陸に奴隷としてつれてこられたアフリカ系人の歴史への主体的関わりを、とくにアフリカの植民地解放運動につながった黒人意識の形成を中心に論じた。


1.  『アフリカ世界-その歴史と文化』

1984年3月、世界思想社

《概要》アフリカの歴史と文化に関する研究。宮本正興、岡倉登志編(四六版、p.256)

[共同執筆者]宮本正興、岡倉登志、砂野幸稔、和崎春日、末原達郎、川端正久、松田素二、伊部正之、家正治。

[担当部分]

  ◇「フランス領における民族主義」(pp.112-118)

<概要>サハラ以南のアフリカのフランス領植民地における20世紀初頭以来の民族主義運動を概観し、とくにカメルーン、マダガスカルで武力によって圧殺された民族主義運動に注目した。

◇「フランス語圏の文学」(pp.191-198)

<概要>植民地期から独立後にいたるフランス語によるアフリカ人の文学作品の流れを、ネグリチュードの誕生から第二世代によるネグリチュード批判の動きを中心に概観した。

 


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